1. フィギュアスケート新ルール
まずは、2018年6月5日~8日開催のISU総会で決定した
フィギュアスケート新ルールについて、ざっくり確認していこう。
SP(ショートプログラム。構成は、ジャンプ・スピン・ステップからなる合計7つの要素で組み立てる。演技時間 2分40秒 ± 10秒)
FS(フリースケーティング。構成は、含めることのできる要素を独自に組み立てる。原則的に自由な演技で表現。演技時間 4分 ± 10秒)
に共通する項目から行こう。
① ジャンプにおける基礎点とGOE(出来栄え点)の変更
A. 基礎点が下がる。
新ルールでの基礎点は2A(2回転半)の「3.3」〜 4A(4回転半)の「12.5」までの加点に変更となった。
B. GOE(出来栄え点) が「7段階」から「11段階」へと小刻みになる。
具体的に言うと、
今まで、 基礎点「+3~0~-3」だった評価が
新ルールは、基礎点「+5~0~-5」と幅が広がるということだ。
この幅は「1段階 = 基礎点の10%の増減」と設定されている。(= 大技程、出来栄えに左右されることになる。)
つまりジャンプの技術や美しさを
より点数化すると言うことだ。
一方で、ジャンプを失敗した場合は、
今までよりもダメージが大きくなる。
ジャンプで転倒などの大きなミスをした場合、
新ルールでは、演技構成点という、
別の基準からも引かれてしまう。
しかし、今までも結局はジャンプの出来不出来が勝敗を分けて来た。
新ルールでは、1本1本のジャンプを更に丁寧に仕上げてください、
ということになろう。
2. FSの新ルール
FSのみの変更点は次の3点だ。
② ジャンプの数は8本から7本へと減少。
③ 後半に組み込むジャンプの内、最後から数えて3本のみ、1.1倍の加点
④ 演技時間は4分30秒から4分へと30秒短縮。
3. 羽生結弦 SP
11月3日、フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦フィンランド大会がヘルシンキで行われた。
本大会では冬季五輪2連覇の羽生結弦(ANA)が出場したので、
彼の滑りから新ルールの是非を見ていこう。
最初の4回転サルコー
高さも跳び幅もあり、軸もぶれずに綺麗に着地。
なる程、ジャンプ1本に対する
私達の見方も丁寧になり、
TVでの解説もそれをきちんと補ってくれる。
続く2本のジャンプも、
ただの「ジャンプ」という捉え方から、
「いかに美しく跳ぶか」という方向へ
自然に捉え方を移行することができた。
ジャンプ間の
摩擦を感じさせない滑らかな羽生の滑りも
充分堪能できる。
最後のスピンに至るまで、曲想に寄り添うような滑りの美しさと
ジャンプという高難度の技に込められた要素とを
相互により堪能できる結果となった。
得点は106・69点をマーク。
ルール改正後の世界最高得点。
4. 羽生結弦 FS
(O_O) …… うって変わって忙しなかったFS……
ジャンプの数を制限したからと言っても、
ほんの2年前、羽生がSEIMEIでガンガンジャンプを跳び始めた以前に比べれば、
ジャンプの本数も難易度も飛躍的に増え、高まっている現在。
テクニカルなSPに対し、
舞台でも見るようなストーリー性を堪能できるはずのFSで
30秒の時間短縮の理由を是非!是非ともお聞きしたい。
演技開始。
時間短縮されても得点獲得の為に跳びまくる。
『成功したわ。やったわ。』と思う間もなく次のジャ……
『ああ〜、危なかっ』もう次のジャンプよ〜!お祈り、お
『軸が……』次っ!次っ!…… っという感じにー。
合間にステップ、イナバウアー、スピンも
どんどんどんどん詰め込んでこなしてこなして
(T_T) 演技を味わえない〜 落ち着かない〜 「SEIMEI」や「Hope & Legacy 」で堪能した物語性やメッセージ性が汲み取れない〜
(o_o) 残ったのは最もはらはらしたジャンプの出来栄えだけ ……
という結果となった。
私達は羽生を始めとする、
指先まで神経の行き届いた振り付け、
挑むような眼差し、優しい仕草、
FSではそういう舞踊的な要素も楽しみにしている。
それでこそFSだ。
実際に実施してみて初めて気付く問題点というのは必ずある。
どの場面においても柔軟な対応ができるかどうかが、分かれ目ともなる。
FSについて、
新ルールでは選手の消耗も限界を超えているとお見受けした。
是非演技時間を以前の4分30秒に戻して頂きたい。
何よりも、
できるだけ長く鑑賞したいと願う観客が増加する中、
演技時間を短縮するという新ルールは
根本的な部分において、浅慮と言わざるを得ない。
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