1. 66年振りの2連覇
まずは羽生結弦選手、66年振りの2連覇、おめでとうございます。
「高い技術と心を揺さぶる渾身の演技」
羽生選手の快挙に対する賛辞として、このような表現を数多く見かけた。
羽生結弦の強さ、ある意味において、永遠に誰にも越えることのできない稀有な実力をよく言い得た表現だと感じる。
ここで改めて羽生結弦の誰にも越えることができない天賦の才を述べて行こう。
2. ジャンプの美しさ
平昌オリンピックにおける羽生選手のジャンプの美しさは、群を抜いていた。
より正確に言えば、羽生選手とハビエル・フェルナンデス選手の2名が、特に抜きん出たジャンプを跳んでいると拝見した。
そのようなジャンプを跳べるのも、フェルナンデス選手が秀でた跳躍力で高いジャンプを跳ぶことができるのに対し、
羽生選手は天性のスケーティングのうまさから、高く跳び幅のあるジャンプができることに起因している。
滑らかなスケーティングは、ジャンプの入りから跳び終わりまでを一連の流れとして感じさせた。そうしてそれらのジャンプは、作品全体の流れの一部として、作品を中断させることなく組み込まれていた。いわゆるGEO点の高いジャンプを今回も披露してみせた。
3. SPとFSの位置付け
さてフィギュアスケートは、ジャンプ・スピン・ステップなどの「エレメンツ(技術要素)」と、スケーティングスキル・トランジッション・ パフォーマンスなどの「プログラムコンポーネンツ(演技構成)」を様々な要点と角度から判定し得点を競うスポーツである。
SPとFSの2種類が課されている。
ショートプログラム(SP)は、自分で選んだ音楽の曲想を表現する。ジャンプ、スピン、ステップからなる合計7つの要素で構成されたプログラムを滑走する。
演技時間:2分40秒 ±10秒
あらかじめ定められたエレメンツを必須科目として短い時間の中でこなさなければならない。
「エレメンツ(技術要素)」が前面に出易い種目である。
一方FS(フリースケーティング)は、自分で選んだ音楽の曲想を、原則的に自由な演技で表現。プログラムに含むことのできる要素を自由に構成して滑走する。
演技時間:4分 ±10秒
自身の持てる限りの「エレメンツ(技術要素)」を披露しながらも、
「プログラムコンポーネンツ(演技構成)」の評価点への割合が非常に高く、両者を兼ね備えてこそ制覇できる種目となる。
4. 羽生結弦の二面性
結論を言おう。
羽生結弦は、このSPとFSとをひっくるめ、全体でスケーティングを構成している。
羽生結弦だけが持つ「明確な二面性」がそれを可能にさせるのだ。
透き通るような繊細な美しさで、妖精としか思えない羽生結弦。
雄々しく力強く戦い、やんちゃにロックを踊る男っぽい羽生結弦。
羽生結弦の持つ両極の二面性である。
羽生は世界ランキング1位の技術を駆使しながら、SPとFSにおいて、この両極の二面性を完璧に演じ分けているのである。
ここ最近の羽生のプログラムを見てみよう。
2015-2016 season
SP バラード第1番ト短調
FS SEIMEI
SPでは美しいショパンの調べにのせて妖精の舞いを披露し、
一方のFSでは、戦う貴族を凛々しく演じた。平昌オリンピックでもこのプログラムでの演じ分けは見事であった。
2016-2017 season
SP Let's Go Crazy
FS Hope & Legacy
SPではプリンスのロックを男っぽく観客にアピールしながら滑る羽生結弦。
一方のFSでは、木の精、水の精、自然界の妖精になりきって滑る羽生結弦。特に妖精の羽生は美しかった。この世のものとは思えない程にー。
5. 憑依
この両極の二面性は天性のものである。
そうして羽生は、その二面性をSPとFSのそれぞれで表現し尽くしているのである。
そういう意味で言うならば、羽生のプログラムだけは他選手と異なり、SPとFSの両方を堪能してこそのものである。
更に羽生の作中人物へ憑依する力は物凄い。
羽生結弦の天賦の才は、10年や20年の単位で単純に抜けるものではない。
いや、永遠に抜ける者は出て来ないかもしれない、とさえ私は思っている。
「エレメンツ(技術要素)」とか
「プログラムコンポーネンツ(演技構成)」とかで括りきれないところに羽生はいる。
それらを飛び出したところに、羽生結弦のスケーティングの世界は展開されているからである。
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