1. 経緯
7月17日正午前、愛知県豊田市梅坪(うめつぼ)町の市立梅坪小学校(児童数730人)の教室で、校外学習先から戻った1年の男子児童(6)の意識がなくなり倒れた。児童は救急搬送されたが間もなく死亡が確認された。重度の熱中症である熱射病と診断されたという。
豊田市内は午前9時に気温が30度を超え、11時には33・4度、正午には34・8度を観測。児童たちは水筒持参で、こまめに飲むよう指示されていたという。
教室にはエアコンはないが扇風機が設置されており、戻った際も動かしていた。
校外学習は虫捕りを目的に毎年夏に実施していた。
「エアコンある教室にとどまる勇気を」
熱中症の専門家からは上記のコメントが寄せられている。
(以上、朝日新聞デジタルよる抜粋)
2. 見当違い
まず「エアコンある教室にとどまる勇気を」という熱中症の専門家のコメントが凄い。
事件が起こった梅坪小学校にはエアコンはない。
百歩譲って「エアコン」を「扇風機」と置き換えよう。
梅坪小学校のくだんの教室には扇風機が何台設置され、1台毎の風力はどの位なのか?
それについて調べた報道機関は一体あるのか?
30度を超える猛暑の中、コンクリート造りの校舎は1度熱せられたら、中々冷えない。
果たして30名は越えると思われる教室の児童を冷やすだけの機能を、
この扇風機は、常日頃から持ち合わせていたかどうかだ。
3. エア・コンディショナー
■OECD各国のGDPに対する学校教育費の比率 Top5(全教育段階)
第1位 アイスランド(7.9%)
第2位 韓国(7.6%)
第3位 イスラエル(7.3%)
第4位 アメリカ合衆国(7.2%)
第5位 チリ(7.1%)
同5位 デンマーク(7.1%)
第24位 日本(4.9%)※28カ国中※……上記3つのランキングの「学校教育費」は「公財政支出」と「私費負担」の合計。
先進国中でも教育に割かれる公財政で最下位を争う日本では公立学校でのエアコン設置率はやっと3割だ。
「エアコンある教室にとどまる勇気」が出ても、教室にエアコンなんて無いよ。
仮にエアコンがあったとしても、
各学校に割り当てられる光熱費は極端に低額だ。
教室を冷やすのに必要な温度設定になどできはしない。
つまり教室はエアコンを点けていても「30度、湿度70% 」の状態で保つのが精一杯だ。…… っていうか、熱中症対策など、まるでできていない状態なのだ。
「エアコンある教室にとどまる勇気」を出しても、教室だって熱中症地帯だ。
4. 誤解ごっこ
熱中症の専門家様は、
「エアコン = 心地良く冷やされた環境」としか、想像されなかったのだろう。
ご自分のいられる環境がそうであるからだ。
何十年にも渡り低予算で乗り切らされている教育現場が、
想像を超えた惨状を呈しているのは、火を見るよりも明らかなことなのにー。
5. まとめ
お亡くなりになった小学生の体は、教室にいる時からもう既に、熱中症の症状に入りかけていたのかもしれない。
一方で、年度が始まる前に決定する「年間行事予定」を変更することは、
微細な変更であっても教育委員会が許さないそうだ。こういうところは厳格ちゃんだね。
教室も暑い、
外も暑い、
ならば教室でじっと座っているよりも
外の日陰で虫捕りをしよう、
予定の変更は許可が下りないのだし ………
担任の先生にこのような判断をさせたのは何処の誰なのだ?
誰もが通っていただけに、学校のことは分かっていると誰しもが考える。私もその1人だ。
が、学校ほど変化の激しいところも少ない。
自分の学生時代の思い出を現在進行形の学校事情に当てはめてみても、それは大して意味のあることとは思えない。
学校で起こったことの真相はそうは簡単には把握できない、と私は考える。自戒の念を込めてー。
文末になりましたけれど、亡くなられた御児童のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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