コーチ不在のまま要としたことも口にせず涙を流した宇野昌磨。その理由とここ半年余りの経緯を綴ろう。何か彼の助けになるならば。
1. ひとりぼっちのキス & クライ
2019年11月2日に行われたフィギュアスケートグランプリ(GP)シリーズ第3戦フランス杯(グルノーブル)のFSにおいて、
宇野は5回の転倒を繰り返した。
4位に終わったSPより更に順位を下げ、
総合8位という、シニアに転向してから最低となる結果に終わった。
ひとりでキス & クライの座につき
うなだれ涙し、それでも頑張って笑おうとする宇野に
胸が引きちぎられそうな痛みを覚えた。
昌磨、分かっているんだ。
君の気持ちは分かっているんだ。
全てを受け止めているから … と叫びたくなった。
2. 経緯
この惨敗の要因として、
今春より山田満知子、樋口美穂子両コーチから巣立ち
コーチ不在のまま宇野1人で調整し、競技に臨んで来たことが挙げられる。
① 今年2月、宇野は四大陸選手権のフリーで、ルール改正後の世界最高得点を叩きだして優勝する。
② しかし、3月に行われた世界フィギュアスケート選手権では4位に終わり表彰台を逃す。その上、優勝したアメリカ代表のネイサン・チェン選手には50点以上の差をつけられてしまう。
この時2位だった羽生結弦でさえ、チェンに20点差をつけられた。
羽生の背中を追って来た宇野にとってはまさに驚愕の数字だったと思われる。
ジャンプを始めとするスケーティング全体の劇的なレベルアップを目指さざるを得なくなった訳だ。
その為には練習環境を思い切って変えなければならない、ということは宇野でなくとも考える筈だ。
③ 6月3日、宇野は長年所属していた『グランプリ東海クラブチーム』の卒業を発表。
山田満知子氏(76)と樋口美穂子氏(50)の両コーチ兼振付師との師弟関係も解消し、1人で新シーズンに踏み出すと発表する。
④ その一方、単身でロシアに渡り、メドベージェワ(19)やザギトワ(17)らを育てたエテリ・トゥトベリーゼコーチ(45)主催の夏合宿に参加し、さらなる技の習得に励んだ。
ジャンプのスパルタ指導で有名なエテリコーチの元で宇野は合宿中に
《3回転アクセルの後に4回転トウループ》という、公式戦では誰も成功していない最高難度のジャンプを決めている。
そうして《5回転ジャンプへの挑戦》を口にするまでに実力を上げていたのである。
⑤ 振り付けは、ショートプログラムをシェイリン・ボーン氏、フリーをデービッド・ウィルソン氏に依頼し、8月中旬から練習を開始する。
2人ともカナダ人で、試合用の演目を海外の振付師に依頼するのは初めてだが、ここでも宇野は
「2人が持つアイデアは自分の引き出しからは全く想像できないものが多く楽しみ」と好感触を印象付けるコメントをしている。
3. トッププレーヤー
コーチ不在のまま今回の事態に至ったのは、
夏合宿で手応えを得たロシアのエテリコーチにそのまま専任コーチを依頼する予定が、双方の解釈に齟齬があり、未成立に終わったためという見方が有力だ。
トッププレーヤーのコーチ選びは、そのテクニックの高さ故に
教えられる人材が限られてくる。
例えば往年のイチローにバッティングアドバイスをできる人間が、世界を見渡してもどれだけいたか?ということだ。
また、その契約に至っては、
僅かに存在するコーチを求めて
国を越え、言語の違いを越え、詳細な遣り取りが必要とされる。
言葉は悪いが、コーチの争奪戦といった様相も呈してくる。
現に大坂なおみは、
サーシャ・バイン氏とのコーチ解消の後、コーチ不在である。
上記のような条件が整わない場合、
それは起こり得るのだ。
4. 手の差し伸べ方
昌磨は傷付いている。
思い描いていた現在とは違う今に至って。
途方に暮れている。
けれど昌磨は、恩師の懐を跳び出した経緯があるから
自分だけで抱えようとして
その口を開かない。
結果だけを見て「ほら見たことか」と言うのは誰にだって出来るんだ。
5. 責任
責任を問うのは止めにして欲しい。
それは傷つけるだけの無意味な行為だからだ。
運命や必然はある。
ならば、前を向いて善処しよう。
半年強かけて叶わなかったが、
昌磨のスケーティングを最も伸ばせるコーチに
なんとか昌磨を託せないものか。
昌磨は才能の塊だ。
世界が昌磨を心配している。
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